不登校の息子と2年間向き合って見えてきたこと

体験談

—「分かっているのにできない」理由と、親としての現在地—

はじめに

「なんでできないんだろう」
「分かっているはずなのに、どうしてやらないんだろう」

不登校の子どもを持つ親であれば、一度は必ずぶつかる感情だと思います。
私自身もそうでした。

この記事では、我が家の息子が中学2年の夏に不登校になってから、現在に至るまでの約2年間の経過と、その中で感じたこと、考え方の変化を正直に書いています。

同じように悩んでいる方の参考や、少しでも気持ちが軽くなるきっかけになれば嬉しいです。


不登校の始まり(中学2年・初夏)

始まりは突然でした。
中学2年の6月頃、いわゆる「五月雨登校」が始まりました。

最初は
「ちょっと疲れているのかな」
くらいに思っていましたが、徐々に登校日数が減り、やがて完全に学校へ行けなくなりました。

それまでの息子は、いわゆる優等生タイプ。
中高一貫校に通い、特に大きな問題もなく過ごしていました。

だからこそ、親としては混乱しました。

「なんで急に?」
「何があった?」

原因を探そうとしても、はっきりした答えは見つかりませんでした。


一番つらかった時期(引きこもり・低体重)

不登校になってからの数ヶ月は、今振り返ってもかなり厳しい時期でした。

  • 部屋に鍵をかけて閉じこもる
  • 1日16時間近くYouTubeや動画を視聴
  • 食事が取れず、体重が大きく減少
  • お風呂にも入れない状態

身長160cmで体重が35kg台まで落ちたときは、正直かなり焦りました。

声をかけても反応は薄く、会話もほとんどできない。
「このままどうなってしまうんだろう」という不安が常にありました。


小さなきっかけ(ラーメンと外出)

転機になったのは、本当に些細なことでした。

秋頃から、
「週に一回、ラーメンを食べに行こう」
という約束を作りました。

最初はそれだけです。
勉強でも学校でもなく、ただ「一緒に外に出る」だけ。

それでも少しずつ変化がありました。

  • 部屋から出る時間が増えた
  • 家族との接点が少しずつ戻った

同時に、動画の時間についてもゆるやかなルールを作りました。
完全に禁止するのではなく、少しずつ調整していく形です。


リビングへの復帰と“見える生活”

しばらくすると、動画を見る場所が
「自室」から「リビングのパソコン」へと変わりました。

これは小さな変化に見えますが、親としては大きな一歩でした。

  • 何をしているか見える
  • 声をかけやすい
  • 同じ空間にいられる

完全に閉じこもっていた状態から、「同じ場所にいる」状態へ。

この変化は、その後の回復にとって非常に大きかったと感じています。


運動というきっかけ

さらに、運動も取り入れました。

  • 祖父母の家の筋トレルームに行く
  • エアロバイクを漕ぐ
  • 「運動している間は動画OK」というルール

正直、何をやっているか細かく把握していたわけではありません。
それでも、「家から出る」「体を動かす」という行動が増えたことは大きな前進でした。


親の関わり方の変化(褒めること)

この頃から、意識的に「褒める」ことを増やしました。

それまではどうしても
「なんでできないんだ」
という視点になりがちでしたが、

  • 外に出た
  • 少しでも動いた
  • 会話した

そういった小さな行動を拾って、評価するようにしました。

すると、少しずつ本人の表情や反応が変わっていったように感じます。


1年後の変化(オンラインへの参加)

不登校から約1年が経った頃、息子からこんな言葉が出てきました。

「このままだと、人生無駄にする気がする」

そして、オンライン授業に少しずつ参加するようになりました。

最初は短時間、無理のない範囲から。
それでも「何かに参加する」という行動は大きな前進でした。


再挑戦(登校へのチャレンジ)

夏休み明け、
「一度学校に行ってみようか」
という話になりました。

いきなり教室は難しいので、まずは別室登校から。

結果としては、数回でストップ。
本人にとっては負担が大きかったようです。

その後は、
「午前中だけオンライン」
という形で継続することになりました。

学校側も柔軟に対応してくださり、ここは非常に助かりました。


高校進学への選択

当初、息子は
「高校には行かない」
「社会にも出ない」
と言っていました。

しかし時間の経過とともに、
「とりあえず高校には行ってみる」
という考えに変わっていきました。

  • 髪を切る
  • 眼鏡を作る
  • 過去問に取り組む

少しずつ準備を進め、高校入学を迎えました。


高校生活の現実

入学式を含め、最初の数日は登校できました。

しかし、3日目あたりから再び難しくなりました。

理由ははっきりしています。

  • 集団に馴染めない
  • 教室にいると孤独感を感じる
  • 雑談や自己紹介、グループ活動が苦痛

本人は
「勉強だけならいいけど、コミュニケーションがつらい」
と言います。

ここに関しては、発達障害(ASD)の特性も大きく影響していると感じています。


親の葛藤と受容

最初は正直、受け入れられませんでした。

「なんでこんなことに」
「前は普通にできていたのに」

特に母親はかなり追い詰められ、
強い言葉や極端な感情が出ることもありました。

しかし、病院で発達障害(ASD)の診断を受け、少しずつ見方が変わっていきました。

  • 本人の努力不足ではない
  • 特性として苦手なことがある
  • 環境とのミスマッチが起きている

また、心理検査では知的能力は高めという結果も出ました。

だからこそ
「やればできるのでは」
と思ってしまうのですが、

実際には
「できること」と「できないこと」の差が大きい
という現実も見えてきました。


現在の状況

現在は、

  • 生活リズムはある程度安定
  • 食事も取れている
  • 家族との会話もある

一方で、

  • 学校への継続的な登校は難しい
  • コミュニケーションへの苦手意識が強い

という状態です。

保健室登校や通信制高校など、いくつかの選択肢を検討しながら、外部の専門家とも相談しているところです。


「何もしない」のではなく「できない」

この2年間で一番大きかった気づきはここです。

子どもは
「何もしていない」のではなく、
「今はできない状態にある」

ということ。

  • エネルギーが足りない
  • 不安が強い
  • 切り替えが難しい

頭では分かっていても、行動に移せない。
これは怠けではなく、状態の問題だと感じています。


回復には時間がかかる

もう一つ実感しているのは、回復には想像以上に時間がかかるということです。

  • 半年では変わらない
  • 1年でもまだ途中
  • 2年かけて、やっとここまで来た

そしてそれでも、まだ途中です。


親としての今のスタンス

今の結論はシンプルです。

  • 無理はさせない
  • でも完全に放置もしない
  • 小さなきっかけは作る
  • 長い目で見る

そして何より、

「その子に合った道は必ずある」
と信じること。


おわりに

正直、この先どうなるかは分かりません。

  • 学校に通えるようになるのか
  • 別の道に進むのか
  • 社会にどう出ていくのか

不安はあります。

それでも、2年前の状態と比べれば、確実に前に進んでいます。

もし今、同じように悩んでいる方がいたら伝えたいです。

焦らなくて大丈夫です。
子どもは止まっているように見えて、少しずつ進んでいます。

そして親もまた、一緒に学びながら進んでいくものなのだと思います。


この経験が、どこかの誰かの助けになれば幸いです。

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