〜「楽しいことがない」と言う我が子に、親ができる現実的なサポート〜
うちの子は現在高校一年生ですが、不登校になり、通信制高校に転校しました。
もともと真面目なタイプだったのですが、環境が合わず、徐々に元気がなくなり、やる気も落ちていきました。
今は精神科にも通っていますが、「これで良くなるのか」という不安は常にあります。
そして何より、親である自分自身も少しずつ弱っていくのを感じています。
そんな中で、「どうすればこの子が少しでも社会に適応していけるのか」をずっと考えています。
今回は、その中で見えてきた
ASD傾向の子どもとの関わり方と、実際にできる対策
について、同じように悩む親御さんに向けてまとめてみたいと思います。
ASDの子どもに多い「この悩み」
同じような悩みを抱えている方、多いのではないでしょうか。
・「今日何かあった?」と聞いても「別に」としか返ってこない
・小さな嫌な出来事を何日も引きずる
・ネガティブ思考から抜け出せない
・励ましても響かない
親としては本当にしんどいですよね。
「この子は毎日楽しくないの?」と、胸が締めつけられることもあります。
でも大事なことは、
これは性格の問題ではなく、脳の特性として説明できる部分が大きい
ということです。
ASDの子どもの「記憶と感情」の特徴

ASDの子どもには、共通して見られる脳の特徴があります。
・不安や恐怖を感じる働きが強い
・記憶が映像のように鮮明に残りやすい
・一度残った記憶が消えにくい
この特徴が重なるとどうなるか。
嫌な出来事がずっと頭の中で再生され続ける状態になります。
たとえば
「注意された」「失敗した」「嫌なことを言われた」
こういった出来事が、写真や動画のように残ってしまうのです。
しかもこれは時間が経っても薄れにくい。
つまり、本人にとっては
「いつまでも嫌だった出来事の中にいる」感覚なのです。
なぜ「楽しいことがない」と言うのか
ここがすごく大事なポイントです。
ASDの子どもの脳では、
ネガティブな記憶とポジティブな記憶の残り方に差があります。
・ネガティブな記憶 → 強く残る
・ポジティブな記憶 → 意識しないと消えやすい
つまり、放っておくと
嫌なことばかりが積み重なっていく構造になってしまうのです。
だから、
「今日楽しいことあった?」
と聞かれても、
脳はまず嫌な記憶から検索します。
その結果
「ない」
という答えになる。
これは嘘でも反抗でもなく、
ただ脳の仕様がそうなっているだけなんです。
効果が証明されている「ポジティブ記憶の作り方」

ここで役に立つのが、ポジティブ心理学の研究です。
心理学者セリグマンは
「1日の終わりに良かったことを3つ振り返る」
というシンプルな習慣を提唱しています。
この方法は研究で、
・幸福度の向上
・抑うつの軽減
などの効果が確認されています。 [rieti.go.jp]
さらに、ポジティブな出来事は
人に話すことでより強く記憶に残るとも言われています。
つまり重要なのはこの2つ。
・振り返る
・共有する
ただし注意…ASDの子への聞き方にはコツがある
ここでよくやりがちな失敗があります。
それが、
「今日学校どうだった?」
「楽しいことあった?」
という抽象的な質問です。
これはASDの子にとっては“地雷”になりやすいです。
なぜなら
・学校には嫌な記憶も多い
・脳はネガティブから先に探す
結果として
「ない」→親が粘る→さらにしんどくなる
という悪循環になります。
正しい関わり方:「好きなこと」だけを聞く
じゃあどうすればいいのか。
答えはシンプルです。
好きな領域に限定して具体的に聞くこと
例えば、
電車が好きなら
「今日見た電車で一番かっこよかったのどれ?」
ゲームが好きなら
「今日いちばんうまくいった場面どこ?」
こういう聞き方だと、
ポジティブな記憶に直接アクセスできます。
これがとても重要です。
ポジティブ記憶を強くする「アルバム習慣」
さらにおすすめなのが、
記憶を“形に残す”こと
です。
具体的には
・楽しかった時の写真を撮る
・アルバムにする
・そのときの気持ちを一言書く
この3つをセットにします。
ASDの子はもともと
「鮮明に記憶する力」が強いです。
だからこそ、
ネガティブだけでなく
ポジティブも鮮明に残せるようにする
これがとても効果的です。
親として大事だと感じたこと
ここまで色々書いてきましたが、
正直に言うと、すぐに劇的に変わるわけではありません。
うちの子も今も波がありますし、
親である自分も正直きつい日があります。
でも一つ実感しているのは、
関わり方を変えると、反応は少しずつ変わる
ということです。
「楽しいことなかった」と言っていた子が、
ぽつぽつと話してくれるようになったりする。
それは本当に小さな変化です。
でも、その積み重ねが、
社会に出るための土台になるんじゃないかと思っています。
まとめ

・ASDの子どもはネガティブ記憶が強く残りやすい
・ポジティブ記憶は意識しないと消えてしまう
・「楽しいことあった?」は逆効果になりやすい
・好きな領域で具体的に聞くのが大事
・写真やアルバムでポジティブ記憶を強化する
子どもが「楽しいことがない」と言うとき、
それは本当に何もないわけではなく、
「見つけられていないだけ」
なのかもしれません。
だからこそ、親が少しだけ関わり方を変えることで、
その子の中にあるポジティブな経験を、少しずつ育てていける。
今すぐ社会に適応できなくてもいい。
でも
「楽しいと思える経験」
を増やしていくことが、
この先につながると信じています。


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